表具師・小渕博由の家系図ブログ

早いもので

2013年1月27日|カテゴリー:日々のこと

今日は仕事を早めに終えてパソコン内の写真整理をと思い立ち
はじめていましたら8年近く前の子供の写真が出て来て思わず
家内を呼び「本当可愛かったね」などと親バカ鑑賞会に成りました。

思い返せば東京から茅ヶ崎に越して来て8年の月日が経ち子供たちも
高校1年生と中学1年生に成りました。
月日というのは振返って見れば早く感じます。
今年の7月に現住所の近くに小ギャラリー工房兼自宅が建ちます。
沢山の方々が気軽におこしいただけるように、様々な講座等も予定
しております。

子供

早いもので

数百年保存させる家系図作りとは

2013年1月17日|カテゴリー:日々のこと , 表装

昨年の夏に、古い家系図の複製依頼のご相談を頂きました。
お客様のご要望は「解読」 「数百年保つ家系図の作成」という事でした。
4ヶ月掛かり家系図レイアウトが仕上がり筆耕作業1ヶ月程で上がって
巻物製作に昨日入りました。
筆耕後

和生堂が長年研究して導き出した答えは「自然素材」科学薬品に頼らず制作を
するという事でした。
この事は和生堂の理念でも有ります。
家系図本紙には日本の楮で漉かれた画仙紙を使用しており、肌裏紙には原料が
那須楮で漉かれた美濃和紙を使用しています。
こちらの美濃和紙は重要無形文化財に指定されており
約2尺×3尺の大きさで1枚700円程します。
(その他に増裏紙には本美栖和紙、総裏紙には雁皮紙を使用しております。)
美濃和紙
和紙の他にも保存年数が大きく影響する 使用材は水です。和生堂は2種類の水を使用しております。
精製水・イオン交換水
仕上がった姿形からは見えない使用材について ご紹介をして行こうと思います。

数百年保存させる家系図作りとは

仕事納め

2012年12月29日|カテゴリー:表装

本日29日をもって無事仕事納めとさせて頂きます。
「感謝感謝です」ありがとうございました。

今年は和生堂が長年思い描き また、蓄積してきた
長年の構想が形に成った年でした。

それは、リニューアル出来たホームページと家系図
巻物のカタログ です。

20数年前に始めた家系図もお陰様で現在までに
2000件を上回り様々なお客様のご要望にお答え
出来る様に経験値も増えました。
ひとえにご依頼くださるお客様に感謝申し上げます。
私が作った巻物を世代を超えて家宝として所有いた
だける事は表具師にとりまして冥利 に尽きる事です。

また、今年はフジテレビ「ほこ×たて」に出演して
黒幕の前での撮影は本当に緊張しました。
作業を撮影して頂くのは全く緊張しないのですが
コメントするのは苦手ですね。

表具自体も今年はようやく「自分の表具」の型が
今年後半に掴めてきました。
来年は古典的な表具を守りながら様々な素材を用い
新しい事にチャレンジ したいと構想を練っています。

最後に
来年で父親の工房を出て独り立ちしてから10年です。
和生堂もお陰様で10周年を迎えさせて頂きます。
「本当に心から感謝申し上げます。」

また、来年の初夏にギャラリー兼工房を新設いたします。
益々精進し沢山の方々にご覧頂けるよう頑張ります。

良いお年をお迎え下さい。

仕事納め

巻子本の紹介

2012年12月6日|カテゴリー:表装

巻子本「かんすぼん」と読みますが「けんすぼん」とも言います。
冊子形式が出来る以前からある図書 の装丁です。
奈良時代に 中国から伝えられ経巻や絵巻物「源氏物語絵巻」など
がございます。

仕様 や形式は掛軸とは異なり また。紙と紙・絹と絹をつなぎ際も
必ず右面が上になるように致します。
装飾用材には「雲母(きら)」「本金砂子」 「銀砂子」「絖」等を
用います。
部位名も玉池(ぎょくち)作品の天地にあたる部分
隔 水綾(かくすいりょう)作品の右部分や作品の間にあたる部分
表紙内側を「見返し」「袖」と言います。

下画像は本日修復を終えました江戸後期に描かれた春画です。
京都四条派 松村景文作 長さ7m80㎝

巻子本の紹介

巻子本(巻物)修復

2012年11月3日|カテゴリー:表装

今年もあと2ヶ月を切りましたね
修復や家系図制作などでお待ち頂いているお客様へ
出来る限り年内の御納品を目指しております。
何卒もう少しお待ち頂けるようお願い申し上げます。

本日ご紹介いたします作業は巻子本の玉池(ぎょくち)に
使用します銀砂子を作る行程です。
下の画像はドーサ引きを行っております。
ドーサとは?膠水に少量の明礬を加えた液です。
ドーサ引きをする意味は
ドーサを塗る事で紙に膜が出来て浸透率を弱める効果が有ります。
銀砂子を接着させるのに膠水を用いますがドーサ引き無しの紙に
膠水を塗っても接着力が保てず銀砂子の定着率が落ちていきます。

ドーサ引き
砂子筒
銀砂子料紙

巻子本

巻子本(巻物)修復

書道家さんと・・・

2012年10月11日|カテゴリー:日々のこと , 表装

先日書道家さんと掛軸制作の打合せをしました。
和生堂は家系図巻物や修復専門の工房と思われがちですが、
新規での裏打ちから 掛軸・屏風・巻子本・衝立・和綴じ本
和額なども承っております。
しかし、和紙・糊など こだわった材料 を使い制作したいと言う
私のスタイルもご理解いただき一緒に作り上げたいと思ってます。
書道家さんにも墨汁ではなく硯で摩った墨での作品と限らせて頂
き 作品を100年後でも輝き続けられる様ご説明してます。

また、表具は
真:裱褙表具(真ノ真、真ノ行、真ノ草)、
行:幢褙表具(行ノ真、行ノ行、行ノ草)、
草:輪褙表具(草ノ行、草ノ草)
また、袋表具・明朝表具・見切表具・台表具など様々な用途に合
わせた 伝統的なスタイルが有ります。
また、裂地の柄も上記様式に合わせ 仏表具に合った柄。
部位に合った柄、上げればきりなく有りますが、

伝統的様相は専門家である表具師が知識として持ち用途に合わせ
ご提案しております。

話を戻しますが今回のような現代書作品は 自由な発想と伝統的
要素を少し加える事で掛けて眺めた時に違和感無くバランスの
良い一幅の掛物となります。

掛軸制作

書道家さんと・・・