表具師・小渕博由の家系図ブログ

「平治物語繪 三条殿夜討巻 」

2012年10月4日|カテゴリー:表装

今年の3月20日から東京博物館を皮切に「ボストン美術館 日本美術の至宝」が
開催中です。
現在は名古屋ボストン美術館で12月9日まで行われております。
その後、九州国立博物館2013年1月1日〜3月17日まで
大阪市立美術館2013年4月2日〜6月16日まで

詳しくはhttp://www.boston-nippon.jp/

世界初デジタル最新技術で原寸大に再現
至宝 「日本の絵巻物」完全復刻シリーズ「平治物語繪 三条殿夜討巻 」の
本金箔(純金)を用い砂子引き装飾を施して 巻子本制作を致しております。
九州国立博物館では、和生堂の制作しました下記の巻物がご覧頂ける予定です。


平治物語絵巻
平治物語絵巻

 

「平治物語繪 三条殿夜討巻 」

放映を終えて

2012年9月18日|カテゴリー:日々のこと

先日、放送いたしましたフジテレビ「ほこ×たて」ご覧頂き
ありがとうございました。

ご相談を頂いてから の経緯とお引き受けした理由についてお話を
させて頂きます。
1月に「ほこ×たて」の制作スタッフの方が掛軸をお持ちになり
番組内容 、主旨、今回扱う掛軸、また和生堂以外の表具師さんに
ご相談した事などを伺いました。

番組内でもご説明されていましたが大変思入れが有り大切なお品
とのこと、今まで飾る事が出来ずに悩んでいると伺いました。

今回のようなシミまた、折れ等々の案件は国内外お困りの方が沢山
います。
本来は飾って楽しむ為の掛軸であり、長い年月保存・保管できる
ように先人の知恵と技術で作られ受継げるよう仕立てられております。
100年周期で修復をして、また長い間楽しめるようにする事が
表具師の役割と思い喜んでお引き受けした次第です。

もうひとつの大きな理由は、日本人ならではの手仕事、美意識や技術が
衰退し伝統を継承出来ず技術が無くなるという危機感を感じておりました
ので少しでも沢山の方に見て頂きたいという思いもありました。

ご覧頂いた皆様に和生堂の思いが届きましたら幸いです。

最後になりましたが
細かな気遣いや表具の世界を勉強して頂き、何度もお越し頂いた
ディレクターさんに 感謝を致します。
ありがとうございました。

 

放映を終えて

フジテレビ「ほこ×たて」の「絶対×不可能」に出演

2012年9月13日|カテゴリー:日々のこと

9月16日19:00フジテレビ「ほこ×たて」で和生堂が「絶対×不可能」
のコーナーに出ます。

ご覧いただければと思います。撮影風景

フジテレビ「ほこ×たて」の「絶対×不可能」に出演

有楽町へ

2012年8月21日|カテゴリー:日々のこと

今日は家内とクリスティーズ・ジャパンさんへ納品に行って参りました。
その後、根津 美術館で「応挙の藤花図と近世の屏風」を鑑賞。
円山応挙の「藤花図屏風」は白に青や紫の顔料を重ね合わせ、
複雑な色合いやボリューム を表現する花房は圧巻でした。
根津
根津
久しぶりに訪れた 根津美術館は2009年10月にリニューアルされていて、
ギャラリー内も外観も最高!
写真は外構です全て素敵でした。

有楽町へ

屏風修復2

2012年8月16日|カテゴリー:表装

前回ご紹介した屏風修復の続きです。
屏風に貼込まれている作品の周りに貼られている
緞子を大縁と言います。
大縁の修復をご紹介いたします。

屏風本体から外し
上の画像は屏風本体から本紙・大縁を外している作業です。

大縁2
外した大縁は長年開閉を繰り返すことで経年劣化します。
生地表面がすれ絹糸も痛んでいます。

大縁3
表面に布海苔を塗り強度を出します。

大縁4
大縁旧裏打ち紙除去
布海苔を塗り1週間ほど乾燥して旧裏打ち紙の除去
を行います。

大縁5
大縁つなぎ
除去後、切れて離れていました箇所を隙間が出ない様
繋いで下画像のようにカスガイを打ちます。
その後、薄美濃紙で肌裏打ちを行います。
大縁6

屏風修復2

屏風修復1

2012年8月15日|カテゴリー:表装

屏風修復のご紹介
作品はドイツで発見された葛飾北斎(1760〜1849年)の6曲屏風です。
蝶番も切れたり外れて本紙もかなり傷みが有り時間を掛けて修復しました。
既存の裂地・屏風の土台(骨格子)・木縁など全て再利用でしたので
裂地の修復には布海苔を表面に塗り強度を出したり屏風の土台は古い下張りを
剥がし新しい保護紙を貼り強度を出しました。

屏風修復1
骨格子1
屏風刃物
骨格子2
屏風鉋
屏風蝶番
古緞子
現在まで沢山の作品を手がけましたが、
こちらの作品の修復は沢山悩み苦しみました。
今までの経験・知識また、自分の修復理論を全て
出しきり製作をした思出深い作品です。

有名な作品なので修復後の全体画像はご紹介できませんでした。

屏風修復1