表具師・小渕博由の家系図ブログ

紙蝶番2

2013年5月20日|カテゴリー:表装

紙蝶番で製作しました屏風の開閉をご紹介致します。
屏風開閉屏風開閉2
屏風開閉3屏風開閉4

紙蝶番2

紙蝶番の和紙

2013年5月19日|カテゴリー:表装

屏風の紙蝶番の歴史は鎌倉時代に案出されました。
特徴と致しましては360度開閉して一扇二扇の接し面に隙間が無く
風を通さない作りに 成っております。

用いている和紙は埼玉県小川町で漉かれている細川紙です。
貴族・武家が使う高級奉書紙として使われておりました。
1978年に製作技術は重要無形文化財に指定されました。

細川紙は楮が原料で漉かれております。
和生堂では仮張りや蝶番に使用させて頂いており絶対に欠かせない
和紙の一つです。

紙蝶番

表具師が製作します掛け物・巻子本・屏風・和額の寿命は
選ぶ和紙で全く異なります。(※糊も重要)
手透き和紙とはいえ数年で酸化し斑点が出る事も正直ございます。
良い和紙とは?を求め様々な和紙を購入して 自分で見極める事が
大切だと私は考えます。

和生堂を開業した当初はひと月の売上げも安定しないなか
良いと言われる様々な和紙を購入しておりました。

今思えば売上げを超える材料費を支払い家内には苦労を掛けたと思いますが
その時の経験は貴重な経験で「本当に良い物」を知る事は、自分の見識も上がり
技術も向上する 近道だと確信してます。

紙蝶番の和紙

ボストンにむけて

2013年5月16日|カテゴリー:日々のこと , 表装

今日は珍しく2回目のブログです。
午前中は屏風の下張りをご紹介いたしました。

午後の作業は今月末までの納品でボストンに輸出いたします
「平治物語繪 三条殿夜討巻」 の見返し部の下準備(ドーサ引き)です。
ドーサ引き
平治物語繪 三条殿夜討巻

ボストンにむけて

屏風製作

2013年5月16日|カテゴリー:表装

こんにちは皆様如何がお過ごしですか
寒さが和らいだかと感じたら一気に気温が上がり
体調崩されたりしていませんか。
お体ご自愛下さいね!

5月はバタバタと気がつけば中日が過ぎました。
このところ気温と共に湿度が上がり仕上げ作業に入れない
掛物・巻物が続出しており可成り焦って来ています。
御待ち頂いているお客様に大変心苦しく思っております。
すみません。

今日は屏風の下張りをご紹介いたします。
昨夜、家内に炊いてもらった糊を使い行いました。
最近はすっかり糊炊きは家内の仕事と決めて少し楽をさせて頂いており
感謝して大切に使います。
正麩糊
屏風

屏風製作

ご先祖様からの贈物

2013年4月7日|カテゴリー:修復

「古い家系図を修復」
和生堂では家系図に関して様々な案件 のご相談を頂きます。
戸籍や古い系図の解読・家系図の複製・ 追記筆耕・家系図の作り方、書き方などなど
その中でも古い家系図の修復は表具師に取りまして本 領を発揮するお仕事と考えております。
ご先祖様から代々受継がれて来た大切な家系図を後世に残す大変重要な案件です。
家系図が筆耕されていた本紙は8割雁皮・2割楮の長期保存が可能な和紙でした。
糊は正麩糊が使われており下画像のように除去が可能でした。
比較的状態は良い家系図でしたが折れが数カ所、欠損部が2カ所ありました。
折れの原因は肌裏打ち紙(1回目の裏打ち和紙)の厚みが厚く裏打ち紙の継ぎ目が折れておりました。
旧裏打ち紙除去作業
数百年以上受継げる家系図巻物とは
100年周期の仕立て直し(または修復)が可能かが大きく影響してきます。
仕様も本紙(家系図本体)・墨(筆耕)・裏打ち紙(表具材料)
糊(裏打ちや付廻し作業に使用)水(希釈・打ち水)が保存可能な材料で
製作することが重要と成ります。(源氏物語絵巻は1000年近く経過)
※科学糊や機械裏打ちで仕立てられた巻物・掛け物は残念ながら仕立て直しは
難しいかと考えます。

 

 

ご先祖様からの贈物

かげり逝く材料

2013年3月19日|カテゴリー:表装

先日、材料の在庫確認したところ巻子本(巻物)の表紙部に使う「竹八双」の在庫が
少なくなっているのに気付き京都の材料屋さんにご連絡をしたところ竹八双を作る
職人さんがお亡くなり材料の入手が困難に成ったとのお返事が帰ってきました。

代替えの材料では真鍮などが有るとの事
しかし、昔ながらの古典的な材料で と拘り現在、竹 を加工出来る会社若しくは
個人の方を探しております。

今回の件で痛切に感じたのは今後様々な材料入手が困難になって逝く可能性が
あるという事、日本の伝統を継承していく事の難しさを痛感しました。
竹八双

かげり逝く材料