いにしえより続く伝統技法で家系図を制作する和生堂。
巻物本来の様式や自然素材、そして伝統技法にもこだわっています。
それは、美術表装や文化財修復などを手掛ける表具師ならではです。
家系図とは「家宝」。代々受け継がれていくものです。
長期保存のことや修復のこと、さらに巻物本来の様式について、
家系図を作成する際に考えることは、とても大切なことです。
砂子とは金銀の箔を細かい粉にしたものです。
日本の美意識として古来より巻物に装飾として用いられていました。
現在ではあまり見かけなくなりましたが、和生堂では、表具師の美意識と格式の高い伝統的な美術装飾として、家系図巻物の見返しと尾紙に純金の箔を装飾しています。
金箔は本金箔(純金)を使用しているので、長い年月が経っても、金箔の発色を保ちます。
砂子は鹿膠を湯煎して、刷毛で塗り、紙でなでて留めていきます。鹿膠は高級な膠とされています。
肌裏打ち(はだうらうち)、増裏打ち(ましうらうち)、総裏打ち(そううらうち)の3工程を行います。これは和紙を3層にすることで、強度が増し、さらに暴れや縮みも矯正するなど、すべての基礎となるもっとも大切な作業です。この裏打ちの行程は乾かす時間が必要とし、糊を完全に乾かすことで紙にできるシミなどを防止できるようになります。
裏打ちの行程をすることで、巻物がなめらかに巻けるようになるほか、日本独特の四季がもたらす乾燥や湿気などの変化にも耐えうる家系図巻物に仕上がります。
正絹金襴(しょうけんきんらん)「黄龍(こうりゅう)」と、正絹(しょうけん)「鳳凰」の綸子(りんず)を、表紙や玉池(ぎょくち)・隔水綾(かくすいりょう)に使用しています。
裂地の柄には、貴家の繁栄を願い、縁起のよい「龍」や「鳳凰」の模様を選んでいます。また、正絹金襴は、京都の美術織物店に織ってもらった、和生堂オリジナルです。
正絹は、家系図に触れた際、絹のなんともいえない温もりを感じられます。これは、化学繊維にはない味わいです。
生糸を用いて織り上げたもの。薄手で地紋が目立ちにくく、柔らかい質感があります。艶があり滑らかな生地で、着物などによく用いられています。
家系図と一緒に本金箔(純金)を使用した家紋も後世に残してはいかがでしょうか。和生堂の家系図はうるし二重箱をご用意しており、その箱に本金箔(純金)の家紋をあしらっています。
写真などの資料をもとに再現いたします。
普段あまり見ることが無い家紋ですが、実はどの家系にも家紋は存在いたします。分からないという方は、墓石や仏壇のご位牌をご確認いただくか、ご先祖さまが眠られているお寺さんに尋ねることで分かることもあります。
巻物本来の伝統仕様でもある印巻軸を使用しています。
軸先は、実に多くの種類があり用途や形状もさまざまです。用材は象牙・紫檀・花梨・鹿角など種類は多く、さらに形状は渦巻の形をした渦軸・撥の形をした撥軸などがあり、茶匠好みの利休形・宗旦形などもあります。
昨今の家系図巻物では、掛け軸用の軸先が使われているものも少なくありません。巻物や掛け軸などに慣れ親しんだ方から見ると、少し違和感を感じるかもしれません。