表具師・小渕博由の家系図ブログ

中裏打ち

2012年8月13日|カテゴリー:日々のこと , 表装

今日は迎え盆、ご先祖様の御霊を迎える大切な日本の行事ですね
皆様如何お過ごしでしょうか。
私は夏が少々苦手で工房に引き蘢り気味です。
今日ご紹介いたします作業は「中裏打ち」です。

仕様は和紙:本美栖紙 糊は古糊を使います。
作品は葛飾北斎の肉筆です。
中裏打ち

中裏打ち(打ち刷毛)

ところで掛軸の裏打ちって何層あると思いますか?
答えは4層です。(幅広の作品になると5層6層になります)
1層目:肌裏:薄美濃紙
2層目: 増裏:本美栖紙
3層目:中裏:本美栖紙
4層目:総裏:本宇陀紙
三種類の和紙を用います。それぞれの特色を生かし掛軸を製作していきます。

中裏打ち

覆い製作

2012年8月11日|カテゴリー:表装

桐箱の覆い作りをご紹介
仕様は裂地:古代シケ 覆輪:細川紙に柿渋を塗り天日干し
裏打ち紙:1回目 美濃紙 2回目 鳥の子紙です。
糊:生麩糊
覆いは蓋に被せた際、隙間が無くピッタリ貼り付くよう
作ります。
中々コツがいる作業で数多く製作する事で上達していきます。
古代シケ
覆い1
覆い2
覆い3

覆い製作

補絹作業2

2012年8月4日|カテゴリー:表装

7月4日にご紹介しました補修作業の「補絹」(ほけん)の経過をご紹介します。

補絹
補絹補彩後
欠損した部分を絹糸の太さや織の間隔など
似ている絵絹を用い隙間が出無いようメスを用い切り 、
新しく絵絹を埋めて補彩で色合わせしています。

様々な保存環境(海外も含め)人的被害・経年劣化も含め痛み方が異なります。
決して痛んでると言って諦めないで欲しいです。

補絹作業2

今日は有楽町へ

2012年7月18日|カテゴリー:日々のこと

こんにちは今日は有楽町へ納品に行って参りました。
無事お納め下さいました。  感謝いたします。

物を作る仕事は、お声を掛けて頂いたお客様に
今まで培った様々な経験技術でお答えする事だと思います。

私は沢山のお客様からお声を掛けていただき経験を積ませてもらいました。

また、「表具」という歴史深い伝統技術ですので修復の際は、お預かりした
古い掛軸や屏風・巻子などをバラして先人は、どんな紙を使い縦紙なのか横紙
なのか探り現在の私の「表具」に反映してきました。

しかし、「本物の表具」は奥が深く自分は、まだまだだと思い知らせてくれます。
自分自身が成長することで、より良い仕事を お客様に提供できるので日々勉強です。

私は表具が大好きです苦しいときも確かにありますが経験を元に試行錯誤すると
和紙や作品が「それでいいんだよ」と教えてくれます。
その真逆で「それじゃ駄目だな」もあります。
何時か私の仕事を後世の職人さんが視て賛否を頂ければ嬉しく思います。

今日は有楽町へ

修復作業「虫食い」

2012年7月17日|カテゴリー:表装

今日ご紹介します画像は「虫食い」Before-Afterです。
作品は在原古玩(ありはらこがん 1829〜1922年)
幕末・大正時代の日本画家。

「虫食い」 被害は沢山多い事例でございます。
今回の案件のように修復は可能です。
家宝・寺宝・文化財 をお持ちでお困りでございましたら
是非ご相談頂ければお力になれるかと思います。

虫食い
虫食い修復後

修復作業「虫食い」

生きた証

2012年7月10日|カテゴリー:日々のこと

私は家系図作成に携わりお客様の声、思いを伺ってきました。
或る お客様は亡くなられたご主人が、生前ご自身のルーツを
調べ集めた資料、文献や書き綴られた文章をもとに家系図を
作り残したいと話されていたそうです。

「自分の生きた証」
私は幸運にもお客様の家系図を制作する事やまた、
文化財を修復し後世へ残す仕事をさせて頂いている事が
生きた証だと思います。

100年200年と大切に次の世代の人に託せる仕事を
していこうと今日も頑張ります。
家系図巻物制作

生きた証