表具師・小渕博由の家系図ブログ

肌裏作業

2012年6月30日|カテゴリー:表装

肌裏作業シュロ刷毛肌裏の作業をご紹介します。
肌裏(はだうら) は作品(絹本・本紙)、裂地(きれじ) に行う最初の裏打ちの事です。
用いるのは前回ご紹介しました本美濃紙です。
和紙には縦目横目がありまた、本紙にも縦紙・横紙があり紙取りの際、美濃紙を縦目で使用したり
横目で使用したりします。私は裂地には横目、本紙には十字になるよう紙取りします。

本紙・裂地に精製水を含ませ(水刷毛・噴霧器を使用)縮みを強制します。
紙取りした本美濃紙に炊いた生麩糊をそれぞれに合った濃度に希釈して使い
塗り終わりました和紙は柔らかく強度が落ちているため木を使い糊台から剥がし上げます。
次に画像のようにシュロ刷毛で撫で込みます。
糊は水糊(裂地の場合:生麩糊35%精製水65%)を使うため接着力が弱く貼付けるには
手首を使いシュロ刷毛(一丁半以上)を立てて刷毛先を利用したり寝かせ繊維を落着かせ、何しろ良く撫でます。
水分を含み和紙の強度が落ちているため経験値や指から伝わる感覚で痛めず撫で貼付けます。

肌裏作業

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