裏打ち

裏打ちとは

和紙や糊の水分による伸縮性を利用し、和紙を重ねて刷毛で打つことで、異なった和紙をなじませてひとつの形にしていく伝統技法です。 和紙の暴れや縮みなどを防ぐ、大切な工程となります。

肌裏打ち、増裏打ち、総裏打ちの3つの工程を行い、乾燥には十分に時間をかけ、仕上げていきます。

家系図の説明図

肌裏打ち後[本紙と薄美濃紙を貼り合わせた状態]

肌裏打ち

裏打ちの最初の行程が肌裏打ちです。
筆耕をした本紙(手漉き本草紙)に水を含ませしっかり伸ばします。

和紙の中でも特に強くしっかりとした紙質の薄美濃紙に生麩糊を刷毛で塗り、本紙に合わせ、皺(しわ)や気泡が残らないように丹念になでつけます。

この肌裏打ちをすることで、和紙の伸び縮みを防ぎ、さらに、墨の成分「膠」による本紙の引きつりも矯正していきます。

補強することが目的の裏打ちの中でも基本の作業で、和紙の暴れや縮みを矯正します。
敷き干しで約一週間ほど時間をかけて乾燥させます。

切り接ぎされた綸子(裂地)

切り接ぎ

家系図巻物の玉池(ぎょくち)・隔水綾(かくすいりょう)に鳳凰柄の綸子(りんず)を丁寧に切りつないでいきます。玉池は直接手に触れる部分でもあるため、巻物を傷めにくくする処理をしていきます。

本紙と裂地(きじ)を切りつないでいくことで、巻物の美しさが一段と引き立ちます。

丁寧な作業で綸子を加工していきます。

家系図の巻き上げをしなやかにするための行程

増裏打ち

本美栖紙を使用し、裏打ちをしていきます。
本美栖紙は白土が入ったしなやかな和紙で、光の透過を抑え、墨の発色がよくなります。また、弱アルカリ性のため酸化を防ぎ、耐久性もよくなります。

刷毛で打ち、紙全体を均一な厚みに調整することによって、強度が増し、仕上がった家系図巻物は暴れず、やわらかく滑らかに巻き上げることができるようになります。

本金箔(純金)砂子装飾された雁皮紙を総裏打ち

総裏打ち

増裏打ちのあと、すぐに古糊を使用して総裏打ちを行います。これは乾かさないことによって、古糊のつきがよくなるためです。

繊維が細く短いきめ細やかな雁皮紙を刷毛で打つことで、丈夫で、巻物がおれずにやわらかく巻き上げることができます。総裏打ちは、それぞれの和紙の繋ぎの補強、性質の統合により全体を締めて強化することになります。

総裏打ちに使用する古糊は栄養質が希薄なため、接着力が弱く、巻き解きに必要な巻物のやわらかさを保つことになります。また、ある期間になると自然と糊の接着力がさらに低下し、修復時期の到来を教えてくれます。

雁皮紙には、あらかじめ本金箔(純金)の砂子を装飾しています。そのため、裏打ちをする際は、紙の上から刷毛で慎重に打っていきます。

総裏打ち後、十分に乾かします。
昔はこの状態で一年乾燥させ、巻物に四季を経験させていました。

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