生麩糊の作り方

生麩糊ー表具・表装・経師の伝統的接着剤ー

生麩糊は、表具作業に昔から用いられて来た接着剤です。
文化財の修復に欠かせぬ接着剤の一つとして現在では海外の紙資料の修復に用いられております。

生麩糊の粉

生麩糊の原料は小麦粉から抽出した澱粉になります。精製方法は小麦粉に少量の塩水を加えてよく練り餅状にして、しばらく置いたあと、水中で揉む様に洗うと小麦粉の中のグルテンが凝縮して分離し沈殿します。その沈澱した粉が生麩糊の原料になります。

水と正麩糊の粉

糊の作り方は、生麩粉1: 水3の割合で合わせ、一晩寝かせ湿らせてから、煮ていきます。和生堂では、使用する水はイオン交換水で、煮るための容器は、厚手のステンレス鍋を使っています(鉄や銅製品は使用不可)。

※イオン交換水(活性炭素処理を行い次にイオン交換樹脂で処理後カートリッジフィルターにより処理した水)

正麩糊の原料

水を加えた原料を時間をかけて炊いていきます。

炊き方

一晩寝かした物を煮て行きます。この生麩デンプンは、加熱する事でデンプンの成分であるアミロペクチン(amylopectin)とアミロース(amylose)が水中に溶け出し糊化する。火加減は弱火でゆっくり加熱し、常に軸木などで撹拌(かくはん)し続けます。

ここでサボると糊だまが出来てしまい、今までの努力が無駄になります。
また、よく撹拌すことで、上質な滑らかな糊ができます。
軸木を引き上げ糊の角が立つ様に成りましたら火から降ろし水分を飛ばすため、さらに撹拌していきます。

炊いた糊を丁寧に漉していきます。

新糊

煮てできた新糊は、1日に必要な量だけ取り出して、刷毛で裏ごしして使用。さらに、用途に合わせて、水や古糊で接着力を調整していきます。

古糊は5年以上経過した糊です。

古糊

5年以上発酵、熟成させたものを『古糊』といいます。
大寒の頃、上記で紹介した糊を作り大瓶に入れて表面に水を貼り、密閉して保管します、カビが生え出来きったカビを除去して完成です。

古糊は、新糊にくらべて接着力は弱りますが、乾燥後の強張りが少なく、調整して使うとしなやかな掛軸が出来ます。表装作業の用途に応じて古糊と新糊を交ぜて接着力の調整をして使用します。

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